私のワインの恩人

私には、ワインの楽しさを教えていただいた恩人というか師匠が二人もいる。

一人目は、フランスワインの恩人で、阿佐ヶ谷バードランドの店主 千野 桂一さん、二人目は、イタリアワインの恩人で、帝国ホテル東京 ザ・クラブルーム マネージャでソムリエの戸谷 政さんだ。

このお二人に月一ペースでお会いできる日は、特別な高揚感を伴った自分へのご褒美の日だ。

秋風が吹き始めた昨年某月某日、帝国ホテルのザ・クラブルームを訪れたときのこと、いつもの笑顔で迎えてくださるスタッフのSさんに案内された奥のシートに付くと、戸谷さんセレクトのイタリアワインが籠に恭しく鎮座している。

実は、戸谷さんに無理を言って、イタリアワインの生徒になっているのだ。

月代わりでイタリアワインを戸谷さんにセレクトしていただき、産地、ブドウ品種、ヴィンテージ年、楽しみ方、産地の文化、マリアージュに適した食事、その他諸々のお話を直接お聞きできるのだ。

40年以上もの経験に裏打ちされた豊富な知識には圧倒されるとともに、そのやさしいお人柄に惹かれる。

というか、クラブルームで過ごす時間は、もう、楽しくてしょうがないのだ。

それでは、先生役のソムリエの戸谷さんと、生徒一人という贅沢なイタリアワイン学校のはじまり、はじまり。

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今日のイタリアワインは、ROSSO DEL CONTE(ロッソ・デル・コンテ) 2006年だ。

産地は、日本ではレモンでも有名なシチリア州で、イタリア長靴の先に隣接する島だ。

ニコニコしながら戸谷さん 登場。

籠から大切そうにワインを取り出し、ラベルを見せてくれる。

なにげないその所作が非常にかっこいいのだ。私には絶対にまねのできない分野。

戸谷さんによると、シチリアには灯台があって、その名前を附したワインがあるらしく、旨いらしい。

ブドウ品種は、ネロダーヴォラとペッリコーネ。

イタリアワインのおもしろさに、ブドウ品種の多さが挙げられる。「これは、フランスワインにはない魅力なんですよ。」と戸谷さんの説明。

胸元からソムリエナイフを取り出し、キュッキュっと心地良い擦れた音をさせながらコルク開栓。

テイスティングで注がれたワインは、ややオレンジ色がかったキレイな色。

香りは、ベリー等の果実系、口に含むと、まるでシルクのように滑らかにスッと舌から喉へと降りてゆく。

「うーん。これは旨いですね」

そんな貧弱な表現しかできないダメ生徒に、うれしそうにさらにワインを注いでくださる戸谷さん。

なんといっても、ワインを楽しむには、何と合わせるか、そして、誰と飲むかが重要である。

とりわけ、何と合わせるかは、もっとも重要で、いわゆるマリアージュ問題なのだ。

こういうときは、先生に聞くのが一番ということで、ラブラスリー名物のシャリアピンステーキと合わせてみた。

シャリアピンステーキは、牛肉を叩いて柔らかくしたものにペースト状のタマネギが乗せられているもので、ワインの果実感とタマネギの甘さが見事にマッチ。

まさしく、幸せな瞬間である。

この瞬間があるからこそ、普段の仕事が楽しいのである。

帰り際に、本日飲んだワインのエチケット(画像のラベル)をさりげなく渡していただけるサービス、本当に勉強になる。